2025/09/08 14:24

「どうやって作ってるんですか?」
「えーっと、まず最初のひとつを作ってそれから・・・」
「最初のひとつをどうやって?」
「ろうそくのロウみたいな素材を削ったりして作ります」
「???????」

・・・いつもうまく説明できなくてすいません・・・。
葉っぱを作る時に記録してみたので、制作過程をご紹介しようと思います。

kinoko-monoはロストワックスという方法で、ほとんどの作品を制作しています。
作品をいきなり金属で作らずに、ロウ(ろうそくの蝋のような素材・ワックス)で作ります。
それを鋳造という方法で、金属に置き換えます。
その最初に作ったひとつの作品を原型として、それを型を取って増やし、同じ作品を継続して作っています。
(例外もありますが、基本的には)

ざっくりすぎるわ!という方は、ウィキ先生をご参照下さいね。
ロストワックス「ウィキペディア (Wikipedia): フリー百科事典」

今回は「ミズナラの葉バッグチャーム」を例に、制作過程を追ってみます。
※スマホでご覧の方、画像を拡大して見られない場合は、PC版で閲覧する、にしてご覧ください。

まず使う素材は、彫金用のワックス。
ワックスは用途によって性質や融点が違い、色々な種類がありますが、今回使うのはハードワックスと呼ばれるもの。
特徴は、「ヤスリで削れる硬さ」

そして使う工具。
彫金机と各種工具
先端工具はリューター用です。先端に付けた各種工具を回転させ、削ったり磨いたりあれこれ加工します。作業に合わせて色々な種類があります。
ワックスペンはワックスを溶かして加工するための工具です。
ステンレス製のスパチュラ。
なんか歯医者さんで見た事あるような無いような、とか思った方、正解です。
彫金のワックス技法はもともと歯科技工由来らしく、工具や一部の素材はそのまま流用されています。

さてさて、工具の説明をしていると日が暮れてしまうので、さっそく加工していきましょう。
まずは糸鋸でワックスの板を適当に葉っぱ型に切り出します。
ヤスリやリューターを使いガリガリ削ります。適当に葉っぱの立体感をつけていきます。
削り粉を集塵機で吸い込みながら加工します。
葉っぱの縁をざっくり削ります。
裏面からも削り、厚みを落とし、立体感をもう少し作りこみます。
鋸歯を自然に整えつつ、立体感を追及します。
削るだけだとうまく表現できなくなってくるので、ワックスペンで溶かしたワックスを盛り付けながら作っていきます。
表面を整えつつ、葉脈を作ります。葉っぱの厚みも適度に薄くしていきます。
葉脈を作っています。
実物の葉っぱを観察しながら、自然な凹凸感を作ります。
葉っぱの表面がほぼ完成しました。
裏面がまだだったので取り掛かります。
裏面を作る時の注意点は「厚み」。鋳造や型取りに適した厚みに作らないといけません。
光に透かして厚みを見ます。
厚過ぎるところを落とし、薄過ぎるところには足します。
裏面がだいたい出来たら、鋸歯の立体感を出していきます。
細かいところを作り込んでいきます。
気が済むまでこだわります。
葉っぱ部分が完成したら、金具を通すバチカン部分を作ります。
ここまでで、ひと段落。

毎日一定の時間作業したとして、恐らくここまで1か月はかかります。
実際は様々な理由で作業が止まり、1年かかっていました。
最後のほうになってくると、作業が細かすぎてやってやっても変化が感じられません。
こだわればこだわるほど、しんどい。

さて、そんなつらい時間を乗り越え。
次が最後の工程。
呼吸を整えてー(実際は1日以上休んだ後に)
細かい葉脈を入れます。
さて、この作業、一発勝負。
失敗しても直しません。(壊すから直したくない)
泣いても笑っても最後の工程。始める前にイメージを固めておきます。
さあ始め。しくじってもごまかすのだ!

・・・表完成。

休憩して気持ちを入れ替えたら。
裏面もさくさくいきましょう。
一枚目のブナの葉を作った時は手探りだったので、その反省を踏まえてより自然に見えるよう改良。
完成ーーーーーー!!!!!!
いえぇーーーーーーい。

…。
………?
……………いや、まだ、次の工程アルヨ。 →2へ続く